洗剤選びの基本
〇酸性・中性・アルカリ性
洗剤にはそれぞれ液性と呼ばれるものがあります。液性はそれぞれ酸性、中性、アルカリ性、と分けられ汚れの性質によって使い分けられます。ではその液性はどのように分けられているのか、一般的に液性はその洗剤のpH値で表記されます。
pHとは“potential hydrogen(power of hydrogen)”の略で読み方としては「ピーエイチ(ピーエッチ)」または「ペーハー」と呼ばれます。ペーハーとはドイツ語の読みで、pHの発見当時、ドイツが先進国だったのでそう呼ばれていましたが、現在では「ピーエイチ」とJIS規格で定められておりますが、業界によってはペーハー読みをしている場合もあります。また日本語では水素イオン数値と表記します。
pH値は0~14までの数値に分けられます。7の中性を指針とし7より数値が小さいほど酸性に傾き、7より数値が大きくなるほどアルカリ性に傾きます。
〇液性の選定
ではどの液性のものがどういった汚れに対して効果的なのか。汚れもそれぞれ酸性かアルカリ性に分類されます。世の中に存在する汚れの多くは酸性とされています。
人の皮脂、油、手垢などは酸性の汚れ、反対に水アカ、石鹸カス、尿石などがアルカリ性の汚れとなります。
基本的に酸性の汚れを落すには、アルカリ性を使用し、反対にアルカリ性の汚れに対しては酸性の洗剤を、といったように汚れの対極に値する洗剤を使うことによって汚れを効果的に落とすことが出来ます。注意点としてpHが0もしくは14に近づくにつれ強さを増します、強ければそれだけ汚れを落す力も強くなりますが、その分汚れだけではなく素材自体も傷めてしまう事があるため、選定の際には弱めのモノから試すことをお勧めします。洗浄力は強くはありませんが、素材を傷める心配のない、中性洗剤が最近では性能も向上し数多く発売されているので、使用をお勧めします。
〇界面活性剤
洗剤には様々な成分が入っていますが、汚れを落すために必要なものに界面活性剤があります。界面活性剤は油になじむ新油基と水になじむ親水基で構成され、本来混ざることのない水と油を混ざり合わせます(乳化)。
洗剤をかけることで、界面活性剤の親油基が汚れをはがし、水中へと分離溶解させます。
この仕組みはコップに水と油を入れた際、いくら混ぜても分離した層のような状態になりますが、そこに洗剤を入れて混ぜると、分離していた水と油が混ざり合い、乳白色の水が出来上がるので実験してみるとわかりやすいと思います。※イラストはイメージです。
〇汚れを落す4大要素
汚れを落すためには、主に4つの要素があります。“洗剤・力・温度・時間”です。洗浄には“洗剤”がいります、擦る“力”、作業する“時間”、そして場の“温度”です。この4つの要素はサークルで表すことが出来ます。この4つの要素の組み合わせ(配分)により作業内容は大きく変わります。どこかの要素を削れば、そのほかの要素の負担が増える形です。
例えると、洗剤を強力なものに、洗剤を希釈する水の温度を上げると、洗剤の反応時間が短縮され、擦る力も少しで済む。といった感じです。擦る力を大きくすれば、洗剤か時間か温度は少しで済みます。現場に応じてこの組み合わせの配分を変えることで、効率の良い洗浄を行うことができます。
洗剤:前記の通り、対象にあった洗剤の選定
力 :クロス・ブラシ・パッド・ポリッシャーや床洗浄機など
温度:汚れを効率的に落とせる温度は約40℃といわれております。但し60℃以上になるとその効果は大きく損なわれるので注意が必要です。
時間:洗剤を塗布してから汚れに対して反応(溶解)する時間、もしくは作業にかける時間。
〇NG
洗剤の使用にはNG、所謂こういう使い方はだめですよ、とされるものがあります。
例えば、塩素系漂白剤と酸性洗剤を同時に使用する。これは絶対にしてはいけません、塩素と酸が化学反応し、塩素ガスが発生します。もちろんパッケージに大きく注意喚起されているので意図的に混ぜる方はいらっしゃらないかと思いますが、すすぎ残しがあったり、空容器に詰め替えた際などうっかり混ぜてしまったりと、不意に起こってしまう事があるので十分に注意しましょう。
主にバスクリーナーや洗濯洗剤に多く含まれるキレート剤はカルシウムやマグネシウムを分解する力が優れている為、炭酸カルシウムを主成分としている大理石などに使用すると大変なことになります。
このように混ぜてはだめ、や使ってはいけない対象など様々なNGが存在します、基本的に洗剤には用途や注意事項が記載されております。しっかりと洗剤を理解した上でいろいろと試すのはいいですが、本来の用途以外での使用はしないようにしましょう。用途外使用はトラブルの基となります。
※ここに記載している内容は細かい部分を省いた、あくまでも初歩的なことになります。
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