ケミカル

ワックス

〇ワックスって?

ワックスとは、一般的にワックスといっても色々とあります。ヘアワックスやカーワックスなどもその一つですが、清掃業界でいうワックスとは所謂樹脂ワックスと呼ばれるものです。

ネットで引くと

”樹脂ワックスの成分は、主にアクリル樹脂、スチレン・アクリル 樹脂の共重合物の乳剤(エマルジョン)です。 樹脂ワックスはこの水溶性アクリルエマルジョン樹脂を主成分に 床材の保護と光沢の維持を目的として作られています。 樹脂ワックスは床材に塗布しただけで、透明で光沢のある硬い塗 膜(フィルム)を作ります。”

とあります。

・・・難しい、書き方が難しい…わかりやすく説明します。

水の中に大量の極々小さなビーズがあると想像してください、それを床に均一に塗ります、水が乾燥するとビーズだけ残ります、そのビーズは特殊で乾燥した状態だと隣り合ったビーズ同士がしっかりくっつきます。

こんな感じです。お判りいただけましたでしょうか。

(ビーズと表現したものは樹脂ポリマー分子でそのポリマー同士が金属架橋により乾燥時しっかりとくっつきあい、強固な塗膜となります。)

詳細に説明するとこんな単純な話ではないのですが、そこまで理解する必要のない事なので説明は省きます。

〇なぜ塗るの?

では、なぜ床にワックスを塗るのでしょう?

床材と呼ばれるものには様々な種類がありますが、Pタイルなどと呼ばれるもの等の昔ながらの床材は、表面にとても小さな凹凸があったり、爪を立てるとへこむくらい柔らかかったり、強固なものではありません。

そのままの状態では、外から靴底についた土砂を持ち込んだり、風によってとても小さな砂が舞い込んだりしており、そのまま靴で歩くとすぐに傷だらけになったり、汚れが付着したりします。

柔らかい表面に付着した汚れを落すのはかなり大変です。ほっておくと傷と汚れにまみれ、床材自体を張り替えなければなりません。また汚れた床は衛生的とはいえず、見た目もよくありません。

そんな状態を回避する為にワックスを塗ります。床材の保護と美観の意地が目的です。

樹脂ワックスは塗布し、乾燥すればしっかりとした光沢感の樹脂塗膜を生成します。

樹脂ワックスの塗膜はそれなりの硬さはありますが、もちろん傷は入ります、傷の中に汚れも蓄積されます、傷が多く付けば付くほど光沢も失われてしまいますが、ワックスの場合はリコート作業や剥離作業により、光沢を復元することが出来ます。

また、ワックスとは違い、ガラスコートなど、傷も入らないくらいの強固な塗膜を作るコート剤もあります。実際にその塗膜は硬く、よほどのことが無い限り傷が入ることはありません。塗膜形成後も変色もなく、リコートや剥離作業などがない為、長く光沢感を持続させることが出来ます。

しかし、何かの拍子で変色したり、傷が入ってしまった場合、その強靭さゆえに塗り直しはとてもコストのかかってしまう作業になります。

樹脂ワックスは短い周期で光沢を復元させ、常に美観を維持することに特化された保護剤と言えます。

〇なぜ光る?

床材は一見わかりませんが、細かい凹凸があります、でこぼこです。表面に凹凸があると光は乱反射し、目に見えての光沢感は得られません。

ワックスを塗ることで床材の凹凸を無くすことにより、光の反射効率があがり、光沢が出ます。

古くなったワックスが光らないのは、人の歩行などでワックスの表面に細かい傷がたくさん入ることで、光の反射効率が悪くなるためです。

〇ワックスの種類

床に塗るワックスには数種類あります。大きく分けて樹脂ワックス・水性ワックス・油性ワックスとあります。

樹脂ワックスは合成樹脂(アクリル樹脂等)を水に溶解させたもの。水性ワックスは蝋類や蝋状の成分を水に溶解させたもの。油性ワックスは蝋類などを揮発性溶剤に溶解させたもので、主に無垢の木床などに使用されます。

最近で塗られるのはほぼ樹脂ワックスで、水性ワックスや油性ワックスを塗ることは少なくなりましたが、水性ワックスや油性ワックスの上に樹脂ワックスを塗ることが出来ない為、水性ワックスや油性ワックスで管理されていた床の管理では継続して使う必要があります。

樹脂ワックスの中には、床材の種類に応じてさらにカテゴリー分けされております。一般的な化学床用にはじまり、フローリング用、石床用、体育館用、などがあります。さらにメンテナンス方法によるバフィング対応や環境面を配慮したもの、シックハウス・シックスクールに対応したもの等多岐にわたります。

主なカテゴリー

化学床用・病院用・学校用・石床用・木床用・シックハウス対応・シックスクール対応・ヒールマーク対応・バフ対応・UV樹脂加工床対応・帯電防止・自己再分散型・フローリング用・艶消し・環境配慮型・体育館用・乳化性・コンクリート用等

〇樹脂ワックスの塗り方

ワックスを塗る時に用意するもの

①樹脂ワックス ②ワックス塗布モップ ③ワックスタンクorジョーロor小型ボトル ④タオル ⑤出入口用マット

手順 床洗浄or剥離作業 ⇒ワックス塗布 ⇒乾燥 ⇒ワックス塗布(2回目) ⇒乾燥 ⇒ワックス塗布(剥離時3回目) ⇒乾燥

ワックスを塗る前には床面に残留洗剤が無いよう、しっかりと水拭きをするようにして下さい。

ワックスの塗り方に基本形はありますが要点さえ抑えておけばどのような塗り方をしても大丈夫です。ワックスは塗ってすぐに歩行できない為、奥から手前(出入口側)に塗っていきます、また最初に塗る範囲に枠取りをするときれいに塗れます。

ワックスは塗ってすぐに歩行は出来ませんが、表面上は乾燥する為、時間をかけすぎるとバイタリング(先に塗ったワックスの表面が半乾きの状態をモップで引っ張ってしまいムラになる事)を起こしたりしてしまいます。

図の中ではモップのさばき方は一方向にのみ進んでいますが、塗り残しを防ぐためには格子状にモップを捌くときれいに仕上げることが出来ます。

ワックスを塗る際、窓は閉めておいてください、風により埃が舞いせっかくきれいに塗った表面に埃や土砂が付着してしまう事を防ぐためです。乾燥に送風機を使う場合は、直接塗布面に風を当てるのではなく、水平方向に風を送り、できるだけ室内の空気が循環する様にしてあげると、きれいに乾燥させることが出来ます。空調が使えるのであれば、設定をドライにすると乾燥は早まります。

時間に余裕があるならばワックスの乾燥時間はしっかりと取ってあげるようにしましょう。

直接塗布面に風を当てると艶引けの要因にもなり、仕上がった時光沢が得られない事があります。

湿度が極端に高い日、床の温度が5度以下の日などはワックスがしっかりと乾燥しない恐れがありますので、作業しないようにしましょう。

ワックス塗布後のトラブル

パウダリング これは乾燥した塗膜の表面に白い粉状のものが付着している様に見える現象です。実際には付着していうのでは無く、ワックス表面が粉状になっております。この現象を引き起こす要因としては複数あります。先に述べた洗剤分をしっかりと除去できていなかった時、湿度が極端に高かった時、床の温度が低すぎた時、乾燥時間をしっかりと取らず重ね塗りをした時などは、ワックスがしっかりと造膜されずパウダリングや艶引けを起こす要因となります。またワックスと床材との相性が悪く密着不良をおこすと同様の現象を起こすことがあります。いずれの場合も造膜が不十分のため、剥離して塗りなおす必要があります。

〇ワックスの塗り直しの時期

塗ったワックスは時間とともにもちろん劣化します。それは短期では人の歩行の傷によるもの、長期的にはワックス塗膜内成分の揮発によるものなどがあります。短期的な歩行などによる傷などの劣化は、表面洗浄後の塗り足しで補修できます。タイミングは人の歩行度合いにもよりますが、月1回の1~2層塗布、歩行の少ない現場では状況にもよりますが半年に1回の2層塗布で賄える現場もあります。このタイミングは人の歩行だけではなく、ワックスの種類によっても変わります。長期的な要因のワックス塗膜内成分の揮発とは、簡単な説明をすると、ワックス内部にあるワックスの柔軟剤にあたる成分が抜けてワックスが乾燥しきった状態を表します。この乗田までなりますと、ワックスがひび割れ、剥がれたり、滑りやすくなったりするので、塗り足しではなく、剥離作業後のリコートとなります。剥離作業については“剥離剤”の項目にて説明いたします。

〇ワックスのビルドアップ

ワックスを定期的に塗り足していくと、ワックスの層が必要以上に厚くなります。これをビルドアップと呼びますが、この時人の歩行同線は人の歩行によりワックスが削れ、ビルドアップはしませんが、人の歩行のない壁際などは塗り足しを重ねることで必要以上にワックスが堆積してしまいます。そうなると黒ズミ等で見た目も悪くなるため、ワックスを塗り足す際は壁際など、歩行の無い箇所は避けて塗り足すと、ビルドアップの防止になります。

※ワックスの層を重ねると、黒ずんでしまうのは、淡い色の付いたフィルムを重ねていくとだんだん色が濃くなっていくのと同じ原理です。また、ワックス面を洗浄しても汚れが100%落とせるわけではありません、人の目で感じることのできない、僅かな汚れの層が折り重なることでも同様にワックスの塗膜の色合いを濃くしてしまいます。

 

塗り足しの多い現場は、ワックスがビルドアップする前、年に1回はワックスの剥離作業をする必要があります。剥離をせずビルドアップした床にワックスを塗り足していくと、剥離剤でも溶解しにくい塗膜となり、いざ剥離作業をする際、1度でスッキリ剥離できず、2回3回と繰り返しの作業となり、コストが必要以上に掛かることとなります。

剥離作業については、剥離剤の項目にて記述いたします。

 

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